高尿酸血症/痛風
高尿酸血症・痛風は、体内の尿酸値が異常に高くなることで引き起こされる病気です。尿酸は、細胞の代謝によって生じる老廃物の一種で、通常は腎臓から尿として排泄されます。しかし、尿酸が過剰に産生されたり、腎臓からの排泄がうまくいかなかったりすると、血液中の尿酸値が上昇し、高尿酸血症となります。高尿酸血症自体には自覚症状がないことが多いのですが、放置すると痛風と呼ばれる関節炎や、腎臓の病気を引き起こす可能性があります。ここでは、高尿酸血症・痛風の症状、原因、治療法について詳しく解説していきます。
高尿酸血症/痛風の症状について
高尿酸血症そのものには、ほとんどの場合、自覚症状がありません。しかし、高尿酸血症が長く続くと、以下のような症状が現れることがあります。
痛風関節炎
最も特徴的な症状は、痛風関節炎です。これは、血液中の尿酸が結晶となり、関節に沈着することで起こります。特に足の親指の付け根に激しい痛み、腫れ、発赤が生じることが多いです。痛風発作は、明け方から早朝に突然起こることが多く、数日程度続きます。発作の間隔は人によって異なり、数ヶ月から数年空くこともあります。
痛風結節
高尿酸血症が長期間続くと、関節の周りや皮膚の下に尿酸の結晶が沈着し、痛風結節と呼ばれるコブができることがあります。これは、手指、肘、足指、踵、アキレス腱、膝、耳などによく見られます。
腎臓の病気
高尿酸血症は、腎臓にも悪影響を及ぼすことがあります。尿酸が腎臓に沈着して間質性腎炎(痛風腎)が生じると、腎臓の機能低下が進行します。
高尿酸血症/痛風の原因について
高尿酸血症の原因は、大きく分けて以下の4つに分類されます。
尿酸の過剰産生
体内で尿酸が過剰に作られることが原因となる場合があります。これは、遺伝的な要因や、プリン体を多く含む食品の摂取、アルコールの過剰摂取などが関係しています。プリン体は、細胞の核に含まれる物質で、代謝されると尿酸に変わります。特に、レバー類、白子、エビ、イワシ、カツオ等の一部の魚介類などに多く含まれています。
腎臓からの尿酸排泄低下
腎臓からの尿酸の排泄がうまくいかないことが原因となる場合があります。これは、腎機能の低下や、特定の薬物の使用などが関係しています。利尿薬や一部の降圧薬は、尿酸の排泄を妨げる可能性があります。
両方の要因
尿酸の過剰産生と排泄低下の両方が関与している場合もあります。
腎臓以外(主に消化管)からの尿酸排泄低下
体質や遺伝的な要因で消化管からの尿酸排泄が低下している場合があります。
高尿酸血症/痛風の治療法について
高尿酸血症・痛風の治療は、以下の3つの柱で構成されます。
生活習慣の改善
食事療法、運動療法、節酒など、生活習慣の改善は、高尿酸血症・痛風の治療の基本です。
食事療法
プリン体を多く含む食品の摂取を控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。また、水分を十分に摂取し、尿量を増やすことも重要です。
運動療法
適度な運動は、体重のコントロールや、インスリン抵抗性の改善に役立ちます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。
節酒
アルコールは、尿酸の産生を促進し、排泄を妨げる作用があります。特にビールはプリン体を多く含むため、摂取を控えるようにしましょう。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは尿酸値が十分に下がらない場合は、薬物療法を行います。
尿酸降下薬
尿酸の産生を抑制する薬(アロプリノール、フェブキソスタットなど)や、尿酸の排泄を促進する薬(ベンズブロマロン、プロベネシドなど)があります。これらの薬は、尿酸値を目標値まで下げるために、継続的に服用する必要があります。
鎮痛薬
痛風発作時には、炎症を抑えるための鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチンなど)を使用します。これらの薬は、痛みを和らげる効果がありますが、副作用にも注意が必要です。
院長より
高尿酸血症・痛風は、放置すると様々な合併症を引き起こす可能性がありますが、適切な治療を行えば、症状をコントロールし、健康な生活を送ることができます。当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を心がけています。生活習慣の改善に関するアドバイスや、薬物療法に関する詳しい説明など、患者さんが安心して治療に取り組めるようサポートいたします。 痛風発作でつらい思いをされている方、健康診断で尿酸値が高いと指摘された方は、お気軽にご相談ください。