子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮の内側にある子宮内膜の組織が、子宮の筋肉の層(子宮筋層)の中にできてしまう病気です。本来、子宮内膜は子宮の内側だけに存在するものですが、子宮腺筋症では、子宮の筋肉の中に迷い込んでしまうことで、様々な症状を引き起こします。主な症状としては、生理痛の悪化、経血量の増加、貧血、不妊などが挙げられます。子宮が全体的に大きくなり、まるで妊娠しているかのように見えることもあります。
子宮腺筋症の症状について
子宮腺筋症の症状は、個人差が大きく、全く症状がない方もいらっしゃいます。しかし、多くの場合、以下のような症状が現れます。
生理痛の悪化
最も一般的な症状は、生理痛の悪化です。以前は軽い生理痛だったのに、徐々に痛みが強くなり、日常生活に支障をきたすようになることがあります。鎮痛剤が効きにくくなることもあります。
経血量の増加
生理の出血量が増えることも、子宮腺筋症の典型的な症状です。レバー状の塊が出たり、夜用のナプキンを頻繁に交換しなければならなかったりするほど、出血量が増えることがあります。経血量の増加は、貧血の原因にもなります。
貧血
経血量の増加に伴い、貧血になることがあります。めまい、立ちくらみ、倦怠感などの症状が現れます。貧血が進行すると、動悸や息切れを感じることもあります。
不妊
子宮腺筋症は、不妊の原因となることがあります。受精卵が着床しにくくなったり、流産しやすくなったりすることがあります。
その他の症状
- 腰痛
- 性交痛
- 排便痛
- 頻尿
- 便秘
子宮腺筋症の原因について
子宮腺筋症の原因は、まだはっきりと解明されていません。
子宮腺筋症の病気の種類について
子宮腺筋症は、その病変の広がり方によって、いくつかの種類に分類されます。
びまん型
子宮全体に病変が広がっているタイプです。子宮が全体的に大きくなり、まるで妊娠しているかのように見えることがあります。
限局型
子宮の一部に病変が限局しているタイプです。子宮筋腫と間違われることがあります。
子宮腺筋症の治療法について
子宮腺筋症の治療法は、症状の程度や、妊娠を希望するかどうかによって異なります。当院では、患者様一人ひとりの症状やライフスタイル、ご希望を考慮し、最適な治療法をご提案いたします。手術が必要だと考えられる場合には管理施設へご紹介させていただきます。
薬物療法
症状が軽い場合は、薬物療法で症状を緩和することができます。
鎮痛剤
生理痛を和らげるために、鎮痛剤を使用します。ロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が一般的です。
ホルモン療法
子宮内膜の増殖を抑えるために、ホルモン療法を行います。低用量ピル、黄体ホルモン製剤(ディナゲストなど)、GnRHアゴニストなどが用いられます。
手術
子宮腺筋症についてのよくある質問
Q1. 子宮腺筋症は、放置するとどうなりますか?
A1. 子宮腺筋症を放置すると、生理痛や経血量の増加がさらに悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。また、貧血が進行したり、不妊の原因となったりすることもあります。早期に適切な治療を受けることが大切です。
Q2. 子宮腺筋症は、自然に治ることはありますか?
A2. 子宮腺筋症が自然に治ることは、ほとんどありません。閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌が減少し、症状が軽くなることがありますが、根本的な解決にはなりません。症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。
Q3. 子宮腺筋症と診断されましたが、妊娠を希望しています。どうすれば良いですか?
A3. 妊娠を希望される場合は、子宮温存手術(子宮腺筋症病巣切除術)を検討することができます。当院では、妊娠を希望される方への手術経験が豊富です。まずはお気軽にご相談ください。
院長より
子宮腺筋症は、女性にとって辛い症状を引き起こす病気ですが、適切な治療を受けることで、症状を緩和し、QOL(生活の質)を改善することができます。当院では、患者様一人ひとりの状況に合わせた、きめ細やかな診療を心がけております。
生理痛がひどい、経血量が多い、なかなか妊娠できないなど、お悩みのことがございましたら、お気軽にご相談ください。内科を併設しているため、貧血などの内科的な症状にも対応可能です。親子で利用できるキッズスペースもご用意しておりますので、お子様連れでも安心してご来院ください。土曜も17時まで診療しておりますので、お忙しい方も無理なく通院いただけます。