卵巣腫瘍/卵巣がん
卵巣は、女性の骨盤内にある親指大の臓器で、卵子を育て、女性ホルモンを分泌する役割を担っています。卵巣腫瘍とは、この卵巣にできる腫瘍の総称です。良性のものから悪性のもの(卵巣がん)まで、さまざまな種類があります。初期には自覚症状がほとんどないことが多く、発見が遅れることも少なくありません。しかし、早期発見・早期治療を行うことで、良好な経過をたどることも可能です。
卵巣腫瘍/卵巣がんの症状について
卵巣腫瘍は、初期にはほとんど症状がないことが多いです。腫瘍が大きくなるにつれて、以下のような症状が現れることがあります。
- 下腹部の張りや圧迫感
- 腹痛
- 頻尿、便秘
- 腰痛
- 不正出血
- お腹が大きくなる
- 吐き気、食欲不振
これらの症状は、卵巣腫瘍以外の病気でも見られるため、自己判断せずに、気になる症状があれば早めに婦人科を受診してください。
卵巣腫瘍/卵巣がんの原因について
卵巣腫瘍の明確な原因は、まだ解明されていません。しかし、いくつかのリスク因子が知られています。
- 年齢:閉経後の女性に多い
- 家族歴:卵巣がん、乳がん、大腸がんなどの家族歴がある
- 出産経験がない、または少ない
- 肥満
- 喫煙
- 遺伝的な要因(BRCA1、BRCA2などの遺伝子変異)
これらのリスク因子を持つ方が、必ず卵巣腫瘍になるわけではありません。しかし、定期的な検診を受けることで、早期発見につながることがあります。
卵巣腫瘍/卵巣がんの種類について
卵巣腫瘍は、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 上皮性腫瘍:卵巣の表面を覆う上皮細胞から発生する腫瘍。良性、境界悪性、悪性(卵巣がん)があります。
- 性索間質性腫瘍:卵巣のホルモンを産生する細胞から発生する腫瘍。良性、悪性があります。
- 胚細胞腫瘍:卵子のもとになる細胞から発生する腫瘍。良性、悪性があります。
卵巣がんの中でも、上皮性腫瘍が最も多く、漿液性腺がん、類内膜腺がん、明細胞腺がん、粘液性腺がんなど、さらに細かく分類されます。
卵巣腫瘍/卵巣がんの治療法について
卵巣腫瘍の治療法は、腫瘍の種類、進行度、患者様の年齢や全身状態などを考慮して決定されます。主な治療法は以下の通りです。
手術
化学療法
化学療法は、抗がん剤を使用してがん細胞を攻撃する治療法です。手術後に行われることが多いですが、進行がんの場合は、手術前に化学療法を行うこともあります。
放射線療法
放射線療法は、放射線を照射してがん細胞を攻撃する治療法です。卵巣がんでは、あまり一般的ではありませんが、特定の種類の卵巣がんや、骨盤内の再発に対して行われることがあります。
分子標的薬
分子標的薬は、がん細胞特有の分子を標的とする薬です。特定の遺伝子変異を持つ卵巣がんに対して、効果が期待できます。
卵巣腫瘍/卵巣がんについてのよくある質問
Q1. 卵巣腫瘍は遺伝しますか?
A1. 卵巣がんの中には、遺伝性のものが存在します。BRCA1、BRCA2などの遺伝子変異を持つ方は、卵巣がんのリスクが高くなることが知られています。ご家族に卵巣がん、乳がん、大腸がんなどの既往歴がある場合は、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
Q2. どのように検診を受ければ良いですか?
A2. 卵巣がんを早期発見するのに有効なのは定期的な婦人科検診です。1-2年ごとに子宮がん検診を受け、その度に超音波検査を受けることをお勧めします。閉経後も、子宮全摘後の方も卵巣がんのリスクはありますので、定期的な検診を心がけましょう。卵巣の子宮内膜症性病変(チョコレートのう胞)がある場合には卵巣がんのリスクが上昇しますので、よりこまめな検診が必要です。
院長より
当院では、卵巣がんの治療を行うことはできないのですが、早期発見に努め、県内の関連施設へご紹介いたします。不正出血などの症状でお悩みの方、検診で異常が見つかった方は、お気軽にご相談ください。