月経不順
月経不順とは、月経周期が不規則になったり、月経期間が長すぎたり短すぎたりする状態を指します。正常な月経周期は25~38日程度とされていますが、この範囲から外れる場合や、月によって周期が大きく変動する場合は、月経不順と診断されることがあります。月経不順は、放置すると不妊の原因となる可能性もあります。稀に重篤な疾患が隠れている場合もありますので、自己判断で放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。
月経不順の原因
月経不順の原因は多岐にわたります。主な原因としては、以下のものが挙げられます。
ホルモンバランスの乱れ
月経周期は、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンによって調節されています。これらのホルモンのバランスが崩れると、月経不順を引き起こすことがあります。ホルモンバランスの乱れは、ストレス、睡眠不足、過度なダイエット、急激な体重変化、喫煙、アルコールの過剰摂取などが原因となることがあります。
婦人科系の疾患
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸管ポリープ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科系の疾患も、月経不順の原因となることがあります。これらの疾患は、ホルモンバランスを乱したり、子宮や卵巣の機能を妨げたりすることで、月経周期に影響を与えます。
甲状腺機能異常
甲状腺は、代謝を調節するホルモンを分泌する臓器です。甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などの甲状腺機能異常は、ホルモンバランスを乱し、月経不順を引き起こすことがあります。
ストレス
強いストレスは、自律神経やホルモンバランスを乱し、月経不順の原因となることがあります。精神的なストレスだけでなく、過労や睡眠不足などの身体的なストレスも影響します。
月経不順と病気
月経不順を放置すると、以下のような病気を引き起こす可能性があります。
不妊症
月経不順は、排卵が正常に行われていない可能性を示唆しています。排卵障害は、不妊症の大きな原因の一つです。
子宮内膜増殖症
月経不順が続くと、子宮内膜が過剰に増殖し、子宮内膜増殖症を引き起こすことがあります。子宮内膜増殖症は、子宮体がんのリスクを高めることが知られています。
骨粗鬆症
エストロゲンは、骨密度を維持するのに重要な役割を果たしています。月経不順によりエストロゲンの分泌が低下すると、骨密度が低下し、骨粗鬆症のリスクが高まります。
心血管疾患
エストロゲンは、血管を保護する作用があります。月経不順によりエストロゲンの分泌が低下すると、血管が硬くなりやすくなり、心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。
月経不順の治療
月経不順の治療は、原因によって異なります。
生活習慣の改善
ストレスを軽減し、十分な睡眠を確保し、バランスの取れた食事を心がけることは、ホルモンバランスを整える上で重要です。適度な運動も、ストレス解消やホルモンバランスの調整に役立ちます。喫煙やアルコールの過剰摂取は控えましょう。
薬物療法
ホルモンバランスの乱れが原因の場合、ホルモン剤を用いた治療を行うことがあります。低用量ピルは、月経周期を整え、月経痛を軽減する効果があります。黄体ホルモン製剤は、子宮内膜を安定させ、月経量を調節する効果があります。また、漢方薬も、体質や症状に合わせて用いられることがあります。